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改修設計

 大規模修繕工事を行うための建物改修設計とは躯体保護・美観の回復などを目的とし現状の劣化状態に応じた様々な仕様を設定します。特に1回目の大規模修繕工事では下地補修に重点が置かれ、2回目、3回目となると外壁デザイン・カラーの陳腐化、ライフスタイルの変化などによる改良工事等も考えられます。

 改修設計は、ただ単に目前の工事だけを考慮すれば良いものではありません。建物が存在するかぎり定期的に修繕・改良工事の必要があり、長期計画に基づく工事として改修設計を行うが重要です。
 例えば、用いる材料が異なれば掛かる費用と耐久性が異なります。短期的に費用が掛かっても長期的に検討すれば費用も抑えられ、工事の回数も減少し居住者の皆さんへの負担軽減にも繋がります。また、実際の工事に掛かる費用には修繕・保全の為に費やされるものと、足場等作業環境を整える仮設工事費用があります。仮設に掛かる費用は建物の保全には直接関係無く工事が終われば消えてなくなるものです。外壁や鉄部の塗装、廊下・バルコニー床の防水等施工の周期が異なる工事時期を合わせ、消えてしまう仮設を有効に利用しなくてはなりません。


 改修設計は現在の状態・予算は元より将来を見据え建物をどのように維持管理するかを定められるべきです。大規模修繕工事は建物維持管理の方針を再確認し長期修繕計画を見直す良いタイミングです。

 私どもの長期修繕計画作成システム(装置)は、“各年度に実施される改修保全工事は長期修繕計画に基づく工事である”ことをベースに開発いたしました。皆様の建物の各部位の数量積算と現地調査から建物の現状に即した施工方法・使用材料から施工周期を導き、先ず30年間の修繕計画が作成されます。その30年計画中の各年度予定工事を抽出すると改修設計図書が作成される仕組みとなっています。

 先ずは、皆様方のご要望を取りまとめる為居住者の方へアンケートを実施し、バルコニー等の状況や修繕・改良工事に対する希望をうかがいます。皆様のご希望を基に幾通りかの改修設計を提案いたします。提案の中から皆様方の建物維持方針・予算等から建物の改修工事仕様と今後の方針(長期修繕計画)を定めます。


仕様比較表サンプル



 仕様概要比較表は各案を横に並べ、各部位ごとの仕様と金額を比較するための帳票であり改修工事仕様決定の際に作成いたします。


 また、設計者の意図を正しく施工者へ伝えるために、建物診断から、改修設計まで行ってきた中で改修設計図書に盛り込まれた発注者(管理組合様)の意図や、改修設計図書では読み取れない設計の主旨(意図)を伝えるために、改修設計者が「改修設計意図伝達書」を作成し、工事着工までに4者(発注者、施工者、監理者、改修設計者)による打合せ会議が必要となります。