株式会社ビルディー
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躯体の劣化診断
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1.中性化診断
劣化現象
コンクリート打設時PH約12.5の高アルカリ度のコンクリートが、空気中の炭酸ガスと、
コンクリート中の水酸化カルシュウムが反応して、アルカリ度が低下(PH約11未満)する
現象のことで、中性化領域が外部コンクリート中の鉄筋の位置まで達した場合を一般的に
建物の耐用年数とするとされています。
1)調査項目
a)仕上げ材の種類(外装仕上げ材の項による)
b)仕上げ材の劣化状況(外装仕上げ材の項による)
c)中性化深さ
2)調査方法
a)中性化深さ測定は下記の手順による。
(手順)
1.測定個所のはつり前えの状態を記録し、写真撮影する。
2.仕上げ材がある場合は、5cm×5cm程度取り除く。
3.引張試験を行ったあとのコンクリートを直径5〜10cm程度にはつり、ノミによってVカットする。
4.はつったコンクリート表面に付着しているコンクリート粉末をスポイト、ブロアー、
エアガン等で完全に除去する。
5.試薬(JIS K 8006で規定されている1%フェノールフタレインエタノール溶液)を
スプレー等でコンクリート表面に噴霧する。
6.1個所において3〜5回測定し、その平均値をo単位に丸めた値をその個所の中性化深さとする。
7.測定後、断面概要のスケッチ又は写真撮影を行う。
8.必要に応じはつり部の補修を行う。
b)鉄筋の設計かぶり厚さは、設計図書、またはJASS5等により求める。
3)劣化度の区分
中性化による劣化度の区分は、調査時の中性化深さの測定値と中性化速度の組み合わせによる。
a)まず、中性化が鉄筋かぶり厚さのどの位置まで進行しているかによる区分を行う。(測定値による区分)
測定値による区分 |
区分基準(中性化深さ)mm |
屋 外 |
屋 内 |
A1 |
X<0.5D |
X<0.7D |
A2 |
0.5D≦X<D |
0.7D≦X<D+20 |
A3 |
D≦X |
D+20≦X |
X:測定値 |
D:設計かぶり厚さの最小値(設計図書、JASS5等) |
b)次に中性か速度が通常の速度とどうかによって区分する。
なお、論理中性化値は岸谷式中性化速度式による計算値とする。
Y = 7.2 × K × K
Y:経過年数(年) K:中性化深さ(cm)
速度による区分 |
区分の基準(中性化深さ)cm |
B1 |
X<0.5×K |
B2 |
0.5×K≦X<1.5K |
B3 |
1.5×K≦X |
c)中性化深さの測定値と中性化速度の組み合わせにより劣化度の区分を行う。
劣化度の区分 |
区 分 の 基 準 |
1(軽度) |
A1且つB1,A1且つB2,A2且つB1 |
2(中度) |
A1且つB3,A2且つB2 |
3(重度) |
A2且つB3,A3且つB1,A3且つB2,A3且つB3 |
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2.強度劣化の診断
劣化現象
鉄筋腐蝕によるコンクリート組織破壊等の物理的現象。
1)調査項目
躯体表硬度を基に、コンクリート強度推定を行う。
2)調査方法
シュミットハンマー試験:日本建築学会「コンクリート強度推定の為の非破壊試験方法マニュアル」に
準じて実施する。
測定面にある凹凸や付着物は砥石で丁寧に磨いて平滑にし、粉末その他の付着物を拭きとる。
仕上げ層や、上塗りが在る場合はこれを、500×600程度除去し、コンクリート面を露出させる。
打撃方向は、常に測定面に直角方向とし、ハンマーに徐々に力を加えて打撃を起こさせ反発度を測定する。
1個所の測定は20ポイントとし、特に反響や、くぼみ具合などから判定して明らかに異常と認められる値、
あるいは、打撃時の値がその測定部位で平均値の±20%異常になる値があればそれを捨て、
これに代わる測定値を補値補充してから平均値Rを求める。
基準反発度R0 = R + △R
△Rは表1による。
推定圧縮強度F = (13.0R0 − 184) × α (kg
f / cu)
α:材令係数、表2による。
反発度 R |
傾斜角に対する補正値(△R) |
+90゜ |
+45゜ |
−45゜ |
−90゜ |
10 |
|
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+2.4 |
+3.2 |
20 |
−5.4 |
−3.5 |
+2.5 |
+3.4 |
30 |
−4.7 |
−3.1 |
+2.3 |
+3.1 |
40 |
−3.6 |
−2.6 |
+2.0 |
+2.7 |
50 |
−3.1 |
−2.1 |
+1.6 |
+2.2 |
60 |
−2.3 |
−1.6 |
+1.3 |
+1.7 |
表1
材令(日) |
10 |
20 |
28 |
50 |
100 |
150 |
200 |
300 |
500 |
1000 |
3000 |
α |
1.55 |
1.12 |
1.00 |
0.87 |
0.78 |
0.74 |
0.72 |
0.70 |
0.67 |
0.64 |
0.63 |
表2
3)劣化度の区分
設計基準強度を設計図書、JASS5等により推定し、調査推定圧縮強度比をもとに下図より区分する。
劣化度の区分 |
区 分 の 基 準(%) |
1(なし) |
F/F’ × 100 ≧ 100 |
2(中度) |
75 ≦ F/F’ × 100 < 100 |
3(重度) |
75 > F/F’ × 100 |
F :調査推定強度(kg f / cu) |
F’ :設計基準強度(kg f / cu) |
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3.表面劣化の診断
劣化現象
コンクリート躯体の表層付近の様々な劣化現象のことで、目に見える症状。
1)調査項目
a)ひび割れのパターン、長さ、幅
b)エフロレッセンス
c)汚れ(さび汚れ)
d)漏水の痕跡、湿潤状態
e)浮き、剥離、ポップアウト
f)脆弱化、すりへり
2)調査方法
a)ひび割れ
目視により、パターン、長さ、幅を立面図に記入する。
b)エフロレッセンス
目視により、発生部位、面積、程度を立面図に記入する。
c)汚れ(さび汚れ)
目視により、発生部位、面積、程度を立面図に記入する。
d)漏水の痕跡、湿潤状態
目視により、発生部位、湿潤状態、エフロレッセンスの有無を立面図、又は、塔屋内部展開図等に記入し、
水源となりうる個所を推定する。
e)浮き、剥離、ポップアウト
目視と、一部打診により、発生部位、面積を立面図に記入する。
f)脆弱化、すりへり
中性化試験を行った跡等はつり断面部を、目視、打診等によりその程度、深さ、面積を立面図に記入する。
3)劣化度の区分
まず、劣化部位の重要度による区分を行い、次に劣化の程度と、劣化の広がりとの組み合わせによる総合的な
表面劣化度を3段階に区分する。
a)劣化部の重要度による区分
区 分 |
表 面 劣 化 を 受 け て い る 部 位 |
A |
非構造材である壁部分 |
B |
構造材である、柱、梁、耐力壁 |
b)劣化の程度による区分
劣化度 |
劣 化 の 程 度 |
0 |
劣化が認められない |
一 |
劣化が認められるが、表面的又は局部的な現象である |
ニ |
劣化が認められ、断面欠損も部分的に在る。又は、警備な漏水が認められる。 |
三 |
劣化が著しく認められ、断面欠損も鉄筋近くまで達しているものが有る。
又は、著しい漏水が認められる |
c)広がりの程度による区分
グレード |
広 が り の 程 度 |
0 |
劣化が認められない |
a |
全体に対する面積で10%以下又は、幅で0.05mm以下又は、個所で1個所以内 |
b |
全体に対する面積で20%以下又は、幅で0.5mm以下又は、個所で2個所以内 |
c |
全体に対する面積で20%以上又は、幅で0.5mm以上又は、個所で3個所以上 |
d)総合的劣化度の区分
前記a)、b)、c)による劣化部位の重要度、劣化の程度、劣化の広がりをもとに総合的劣化度の区分を行う。
劣化度 |
内 容 |
A |
B |
1(軽度) |
一 且つ a , b |
一 且つ a |
2(中度) |
1 , 3 以外 |
1 , 3 以外 |
3(重度) |
三 且つ c |
ニ , 三 且つ b , c |
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