外装仕上げ材の劣化診断
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1.変退色の診断
1)劣化の現象
劣化によって塗膜表面の色が減退したり、何らかの原因で、もとの色と異なった色に変化する現象をいう。
2)調査方法
a)調査個所は均一な明るさで、乾燥面を選定する。
b)調査部の新設時の色を、劣化が進行していない部分等を参考に推定する。
c)推定色と調査面を相対比較して、JIS L 0804 変退色用グレースケールを用い変退色の程度を
Gスケール値として求める。
3)塔屋、外壁変退色の評価基準
劣化ディグリー |
Gスケール値 |
劣 化 状 態 |
CD0 |
変退色なし |
変退色なし |
CD1 |
5 |
変退色がほとんどない |
CD2 |
4.5 |
変退色がわずかに認められる |
CD3 |
4 |
変退色が認められる |
CD4 |
3.5 |
変退色がかなり認められる |
CD5 |
3以下 |
変退色が顕著に認められる |
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2.光沢度低下診断
1)劣化の現象
紫外線、熱等により塗膜表面の光線反射率が低下する現象をいう。
2)調査方法
a)調査個所は均一な明るさで、乾燥面を選定する。
b)調査部を巨視的に見て、その時の感覚を下表により判定し劣化度を評価する。
3)光沢度低下の評価基準
劣化ディグリー |
劣 化 の 状 態 |
GD0 |
光沢度がまったく低下していない |
GD1 |
光沢度がほとんど低下していない |
GD2 |
光沢がわずかに低下している |
GD3 |
光沢が低下している |
GD4 |
光沢がかなり低下している |
GD5 |
光沢が顕著に低下している |
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3.チョーキングの診断
1)劣化の現象
紫外線、熱、風雨等により塗膜が劣化し、塗膜表面が次第に粉状になっていく現象をいう。
2)調査方法
a)調査個所は、乾燥面を選定する。
b)下記、1または2の方法による。
1.セロハン粘着テープを検査部に強く押し付け接着後、テープを引きはがし、
そのテープを黒い紙に貼り付け評価基準と照合評価する。
2.指触によって指に付いた粉状物の塗料を、評価基準と照合評価する。
3)チョーキングの評価基準
劣化ディグリー |
評価基準番号 |
劣 化 状 態 |
CK0 |
劣化なし |
粉状物がまったく認められない |
CK1 |
1 |
粉状物がほとんど認められない |
CK2 |
2 |
粉状物がわずかに認められる |
CK3 |
3 |
粉状物が認められる |
CK4 |
4 |
粉状物がかなり認められる |
CK5 |
5 |
粉状物が顕著に認められる |
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4.汚れの診断
1)劣化の現象
塵埃、鉄さび、手あか、油脂等の付着、菌類、蘇苔類の繁殖により、通常の洗浄方法ではこれらが
除去できなくなるような状態をいう。
2)調査方法
a)調査個所は均一な明るさで、乾燥面を選定する。
b)調査部近くの汚れの無い部分と、汚れの在る部分とを相対比較して、JIS
L 0805 汚染用
グレースケールを 用い汚れの程度をGスケール値として求める。
3)汚れの評価基準
劣化ディグリー |
Gスケール値 |
劣 化 状 態 |
CT0 |
変退色なし |
汚れがまったく認められない |
CT1 |
5 |
汚れがほとんど目立たない |
CT2 |
4 |
汚れがかすかに有り、わずかに目立つ |
CT3 |
3 |
汚れが認められ、目立つ |
CT4 |
2 |
汚れがかなり認められ、かなり目立つ |
CT5 |
1 |
汚れが顕著で、かつ顕著に目立つ |
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5.摩耗の診断
1)劣化の現象
塗仕上げ材がチョーキングを繰り返しながら膜厚減少を生じていく現象。
2)調査方法
目視、指触により各評価基準と照合する。
3)摩耗の評価基準
劣化ディグリー |
評価基準番号 |
劣 化 状 態 |
W0 |
変退色なし |
摩耗がまったくなし |
W1 |
1 |
摩耗がほとんどなし |
W2 |
2 |
摩耗がわずかに認められる |
W3 |
3 |
摩耗が認められる |
W4 |
4 |
摩耗がかなり認められる |
W5 |
5 |
摩耗が顕著に認められる |
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6.割れの診断
1)劣化の現象
塗膜内部のひずみによって生じる部分的な破断現象で、ヘアクラック(最上層の表面だけに
起こる極細かいもの)、浅割れ(塗膜表面にできたからす足状、線状のもの)、クレージング
(浅割れより深いもの)、深割れ(塗膜の1層を貫通したもの)がある。
2)調査方法
目視、指触により各評価基準と照合する。
3)割れの評価基準
劣化ディグリー |
評価基準番号 |
劣 化 状 態 |
C0 |
変退色なし |
割れがまったくなし |
C1 |
1 |
割れがほとんどなし |
C2 |
2 |
割れがわずかに認められる |
C3 |
3 |
割れが認められる |
C4 |
4 |
割れがかなり認められる |
C5 |
5 |
割れが顕著に認められる |
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7.ふくれ、剥がれ等混在の診断
1)劣化の現象
ふくれ、剥がれ等が単独に発生した現象や、それらが混在して発生した現象のことをいう。
2)調査方法
目視により各評価基準と照合する。
3)ふくれ、剥がれ等混在の評価基準
劣化ディグリー |
Gスケール値 |
劣 化 状 態 |
M0 |
変退色なし |
ふくれ、剥がれ等がまったくなし |
M1 |
1 |
ふくれ、剥がれ等がほとんどなし |
M2 |
2 |
ふくれ、剥がれ等がわずかに認められる |
M3 |
3 |
ふくれ、剥がれ等が認められる |
M4 |
4 |
ふくれ、剥がれ等がかなり認められる |
M5 |
5 |
ふくれ、剥がれ等が顕著に認められる |
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8.付着性低下の診断
1)調査方法(建研式接着試験機またはアドヒージョンテスター使用)
a)測定部のごみ、埃、油脂等を取り除く。
b)アタッチメントを2成分型エポキシ接着剤を使用して接着させ、直ちにガムテープで固定する。
c)接着後、アタッチメント周辺をカッターナイフ等で、既存塗材に溝を入れる。
d)アタッチメントに衝撃を与えないよう試験機ヘッドを取り付ける。
e)徐々に圧力を加え、強制的に引張り、破壊位置の確認を行い(写真撮影等)その時点の数値を読み取る。
f )測定値を評価基準と照合し劣化ディグリーを評価する。
2)付着性低下の評価基準
劣化ディグリー
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セメントリシン,セメントスタッコ
セメントフィラー等 |
樹脂リシン,樹脂スタッコ
吹付タイル,マスチック,弾性材 |
AS0 |
15s以上/cu |
25s以上/cu |
AS1 |
10〜14s/cu |
20〜24s/cu |
AS2 |
5〜9s/cu |
15〜19s/cu |
AS3 |
3〜4s/cu |
10〜14s/cu |
AS4 |
1〜2s/cu |
5〜9s/cu |
AS5 |
1s未満/cu |
5s未満/cu |
破壊個所の位置図 |
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1接着剤の凝集破壊 |
2接着剤と既存塗膜の層間破壊 |
3既存塗膜の凝集破壊 |
4既存塗膜と下地材の層間破壊 |
5下地材の凝集破壊 |
6下地材と躯体の層間破壊 |
7躯体の凝集破壊 |
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