①設計監理方式(工事と改修設計の分離)
管理組合様が工事会社を選ぶまでに、パートナーとしてコンサルタント会社に専門的なことや技術的なことを任せて、工事が始まったら管理組合様に代わって工事のチェックなどをする方式で、公正で透明性がある。
②責任施工方式(設計施工方式)
信頼のおける工事会社を選び診断・設計・施工を請け負わせる方式で、他との比較、第三者のチェックができない。
③管理会社主導方式
管理会社が管理組合様の意向を受けて大規模修繕工事のお膳立てを行い、工事会社に工事を請け負わす方式で、管理会社の能力に左右される。
B.計画(調査診断~修繕基本計画~改修設計)
2.調査診断
この時点で行う建物診断の目的は、向かう大規模修繕工事に健全で、的確な判断ができるために行うもので、資産調査や劣化状態の学術調査ではありません。
基本的に行うのは劣化診断で、特に劣化要因の多い場所を選定しその場所と建物全体を比較評価する方法で行います。
また、アンケート調査は、専用使用のバルコニー内の状態を把握し、同時に居住者の意向調査もかねて行います。
アンケート調査結果
3.修繕基本計画
修繕計画は大別して3つあり、長期、中期、短期修繕計画に分かれます。大規模修繕工事直前に見直しされるものは短期修繕計画で、修繕実施計画とも言われ、修繕費用算定、資金計画の準備をするために行います。
4.改修設計
修繕設計とも呼ばれ、「建物診断により修繕すべきとされたものにつて、どんな材料と工法でどのように修繕すべきかを明らかにしたもので、それに基づき工事費の見積ができ、かつ、適切な工事施工が行えるもの」のことです。
改修設計図書例
工事仕様書=仕上材の仕様、施工の方法などを文書、表、図などで表したもの
見積数量書=改修工事対象部の数量を記載したもので、工事単価を入れて工事費が算出できるもの
改修設計図=取替、新規取付などの場合、見積、施工に必要となる図面
この時点で区分所有者へ建物劣化状態、改修設計内容の周知のための公開説明会を行方法もあります。
C.計画の実行(施工会社の選定~資金計画)
5.施工会社選定
選定方法としては次の方法があります。
①見積合せ=選定基準にある数社を選び提出見積書等の内容を検討して選定する方法
②入 札=公共工事などで行われてるもので予定価格内の最安値業者を選定する方法
③随意契約=信頼のおける業者1社に指名して見積を取り協議を行い契約する方法
施工会社の分類
ゼネコン系=会社規模が大きく知名度はあるが、経費率が高い。
管理会社系=管理会社の経営方針により差がある。
専門業者系=会社によって得意、不得意分野があり、会社規模も大小さまざまであるが、専門だけに改修工事のノウハウはある。
見積業者の募集
工事見積を依頼する会社選定は、推薦を受ける方法、公募による方法等があります。いずれも見積参加業者から会社案内、工事経歴などの書類提出を求めます。
見積参加業者の書類審査
書類審査により見積参加基準にあてはまる会社を選びます。
現場説明会
見積参加業者へ改修設計図書を渡し、見積要領や注意事項の説明を行います。
質疑回答
見積参加業者が見積中に質疑がある場合、文書で質疑書を管理組合へ提出します。管理組合で協議、決定した質疑は全ての見積参加業者へ質疑回答書として送付します。
1次審査
見積参加業者らか提出された見積書、添付書類などを審査してヒアリング参加会社を選びます。
ヒアリング(公開することでより透明性が確保できる)
予定現場代理人(現場カントク)への質問や、会社の施工管理体制、品質管理体制などを聞くヒアリング会を行い、最終的に適切な施工会社を選びます。
6.資金計画
選定された施工会社へ工事範囲の変更がある場合再見積依頼、最終工事金額決定のための値交渉などを行います。
改修工事では工事中にどうしても必要となる工事の発生が考えられますので、工事費の数%程度の予備予算が必要となります。
D.決定(総会決議~大規模修繕工事)
7.総会決議
事前説明会
総会決議前に区分所有者を対称として、施工会社選定までの経過説明、質疑応答などを行えば、より理解が得られやすくなります。
定期または臨時総会
大規模修繕工事実施の最終決定は、区分所有法の規定に基づき総会決議が必要です。通常の大規模修繕工事は過半数決議ですが、共用部の著しい変更を伴う場合は3/4以上の決議が必要となります。いずれにしてもできるだけ多くの賛成が望ましいことは言うまでもありません。
8.大規模修繕工事
請負契約
総会決議後、管理組合と施工会社の間で工事請負契約を締結します。工事監理者がいる場合は、監理者も署名捺印を行います。
工事説明会
大規模修繕工事は居住者の協力なくしては進めることができません。施工会社が管理組合の考えを基に工事計画を行い、その計画を簡単なしおりとして全ての居住者に配して、工事説明会を行います。
工事説明会はできるだけ多くの出席が必要ですから休日に2回以上開催します。
工事監理
工事実施期間中は、工程の進み具合、施工の状況などを厳正にチェックする「監理」が重要です。また、管理組合、施工者、監理者による定例会議を月1回程度は実施し、報告、検討、承認などを行います。
工事検査
工事期間中の中間検査、最終段階での竣工検査を行います。中間検査は中間支払い前に出来高査定のためにも必要です。
竣工検査は、通常管理組合様立会いで行います。
アフター点検
工事竣工後1年目にはアフター点検を実施します。
大規模修繕工事のタイムスケジュール
* ○○(赤文字)の 行事は居住者参加で公正で透明性をはかるために行う |